2023年度のタイトル戦(終了分)
【棋王戦】(2024年2月~3月・藤井棋王タイトル防衛戦)藤井聡太棋王VS伊藤匠七段
- 同年代対局ということでお互いにいろんな作戦を立てて新しい試みをしていたような印象があります。伊藤七段が優位に運ぶ場面もありましたが、結局は中盤から終盤にミスしない藤井棋王の圧勝となり、引き分け持将棋の後の3連勝の圧倒的な完勝となりました。伊藤七段が終盤力をつければ良い勝負になるかもしれませんが、今の藤井棋王を追い込むのには全ての棋士にとって大きな壁と感じているのではないでしょうか。
【王将戦】(対局終了・藤井王将タイトル防衛)王将戦のタイトル防衛戦 藤井聡太王将VS菅井竜也八段「勝負めし勝負おやつ」
- これまでのタイトル戦では相居飛車の戦いがほとんどで、中盤までは城跡系で進み、面白みが少なくなっていますが、振り飛車の第一人者である菅井竜也八段との対局では、開始早々から大駒が積極的に動き、目が離せない楽しみな対局でした。藤井王将に対抗できるのは振り飛車かといわれる中で、藤井王将が完勝の4連勝したというのは衝撃的でした。ただ、将棋自体が非常に面白かったので、藤井王将が目指す面白い将棋ともあっているのではないでしょうか。
【竜王戦】(対局終了・藤井竜王タイトル防衛)竜王戦のタイトル防衛戦 藤井聡太竜王VS伊藤匠七段
- 藤井竜王が危なげなく4連勝しタイトルを防衛しました。第4局では伊藤七段にリードされた場面もありましたが、その後、逆転勝利しています。伊藤7段も若手騎士として非常に実力はありますがタイトル戦初挑戦で2日制となれば藤井竜王とは格の違いというものを感じさせます。
【王座戦】(対局終了・藤井竜王名人タイトル獲得)永瀬拓矢王座VS藤井聡太竜王名人
- 永瀬王座の研究がはまり、すべての対局で永瀬王座の優位が続き、勝利目前の対局もありました。しかし、1分将棋での対応力が藤井聡太竜王名人が抜きに出ており、永瀬王座の緩手を見逃さず、逆転する局面が多く、最終的には王座を獲得することができ、八冠を制覇しました。藤井八冠を序盤から脅かす存在は今のところ永瀬九段しかいないのではないかと思います。
【王位戦】(対局終了・藤井王位タイトル防衛) 藤井聡太王位VS佐々木大地七段
- 棋聖戦と同じように、佐々木七段が優位に立てる場面もありましたが、終盤戦での自力は藤井王位の方が上回り、結局、4勝1敗というスコアになり、タイトル防衛しました。その1敗である第4局での佐々木七段の勝利は完勝といえる良い将棋でした。やはり、藤井王位の壁が高いことを実感しました。
【棋聖戦】(対局終了・藤井棋聖タイトル防衛)藤井聡太棋聖VS佐々木大地七段
- 結果的には藤井棋聖の3勝1敗でしたが、一方的に藤井曲線で勝つというのではなく、中盤までは佐々木七段がリードする場面が多くありました。そこから終盤戦にかけて、佐々木七段がゆるい手をさしたりミスをしたりすると、それを逃さず藤井棋聖が逆転し勝利するというパターンが結構見られました。
- 若手の棋士が研究の結果、中盤戦まではリードできるチャンスはあるような気がしますが、終盤にかけてミスの少ない将棋を指すことができるかどうかというのが大きな分かれ道であり、藤井棋聖の偉大なる強みであると思います。
【名人戦】(対局終了・藤井竜王タイトル獲得)名人へのタイトル挑戦 渡辺明名人VS藤井聡太竜王
- 渡辺名人との対局では圧倒的な勝率の藤井竜王の名人獲得と7冠制覇への期待がかかった名人戦でした。角替わりの対局はなく雁木模様の力戦となりました。渡辺名人がリードする場面も随所にありましたが、リードされながらも、ここぞというときにミスを誘う勝負手や最善手を選択し続ける藤井竜王の自力が目立ちました。藤井竜王に勝つにはミスしないことが重要であると改めて感じました。
- 名人戦・順位戦(日本将棋連盟)、毎日新聞「特集 第81期名人戦」、(名人戦棋譜速報・日本将棋連盟ライブ中継は有料会員)、YouTube「囲碁将棋TV -朝日新聞社-」で対局ライブ放送、その他大盤解説会ライブ放送などがあります。
【叡王戦】(対局終了・藤井叡王タイトル防衛)叡王戦のタイトル防衛戦 藤井聡太叡王VS菅井竜也八段
- 振り飛車の第一人者である菅井竜也八段との対局は、これまでの居飛車対決にはない激戦が繰り広げられました。菅井八段がリードする場面がたびたび表れるなど、藤井叡王に対抗する一つの手段が見つかったのではないかと思います。1日対局の先に3勝なので、厳しい戦いだったと思います。
- 叡王戦中継サイト(日本将棋連盟)※棋譜が見れます